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◆商品先物取引 |
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商品先物取引とは、一定の商品について将来の売買をあらかじめ現時点で約束をする取引のことです。現時点では売買の価格や数量などを約束だけしておいて、将来の約束の日が来た時点で、売買を行います。あらかじめ売買の価格を決めておくことができるので、その商品を扱う専門業者には価格変動する商品の売買につきものの価格変動リスクを回避できるという利点があると言われています。現実に商品を受渡したくない場合には、売買の約束日までに、予定した売買の反対の取引(買った場合には先に売ってしまう、売った場合には買い戻す)により差金決済が可能とされています。 |
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商品先物取引は1に書いたように仕組みも複雑で、支払ったお金が全部無くなるばかりか、場合によると追加でお金を支払わなければならなくなる、とても危険性の高い取引です。 商品先物取引では、実際に売買する代金の20分の1くらいのお金で取引ができるため(例えば、10万円の委託証拠金で取引ができると言っても、実際には200万円の取引をしているわけです。)、商品の値段が予測したとは反対の方向に5パーセント動いてしまうだけで、簡単に預けたお金がなくなってしまうことになるのです。 素人には、将来の売買の価格を決めて、さらに、約束の日まで利益の出るように決済することは不可能に近いことです。外務員の言いなりに取引させられて、多額の損をすることになるのです。さらに、商品先物取引を行うには、国から許可を得た商品取引員、いわゆる商品先物取引業者に委託しなければなりませんが、そもそも、そのような業者の営業姿勢にかなり問題があります。 例えば、商品先物取引の危険性などを十分に説明しないであたかも簡単に儲かると誤解させるようなセールストークで勧誘してくる業者が少なくありません。さらに、一旦取引に入ると、次から次へと取引を続け、儲かればその儲けを次の取引につき込んでさらに規模の大きな危険な取引へと勧誘したり、予想に反して損が発生すると、その損を食い止めるため、あるいは損を挽回するためと称して新たな資金を投入させたりする業者があります。いったん取引を始めてしまうと、僅かな損を諦めきれずにさらに資金を投入し、結局、損を拡大させてしまうことになりがちなのです。 また、売ったり買ったりを頻繁に繰り返したり、両建といって売りと買いとを同時に建てさせて、たくさんの手数料がかかる取引へと勧誘する業者もあります。 例えて言えば、相場で損をするのではなく、業者によって損をさせられるケースが少なくないのです。これが「先物取引被害」と言われる理由なのです。 もっとも、平成23年1月からは、原則として電話勧誘や訪問勧誘は禁止されましたので、これから被害事例は減少していくと考えられています。 |
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取引がまだ継続していて、さらに追証を請求されている場合や、もう取引を止めたいと言っても止めさせてくれない場合など、業者の対応に疑問を感じたら、まずは弁護士に相談してみましょう。そのまま取引を継続すると、さらに証拠金を入金するよう求められて、損害が拡大するおそれがあります。 取引終了後であっても、「預貯金よりも有利に運用できます。」、「これから値上がりするのは確実です。」などと断定的な表現で勧誘されたケースや、投資経験がなく高齢なのにいきなり多額の投資をさせられたというケースなどでは、後から商品先物取引員である業者に対して損害賠償を請求できる場合もあります。但し、取引が終わっている場合は消滅時効の問題が生じますので、早めに相談して下さい。 |
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多くの裁判例では、取引をしていた人の年齢、学歴、職業、資産状況、投資経験、投資意向等によって、何割かの「過失相殺」をされ、被害額の全部を取り戻せないということが多いようです。 当研究会メンバーが担当した事件では、過失相殺をされず、被害額全額の支払いを命じる判決を受けたものもありますが、これも高裁では一部減額をして和解しています(詳細はこちら)。 |
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