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札幌高等裁判所平成20年1月25日判決 |
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掲載 金融・商事判例1285号44頁、判例時報2017号85頁 相手方業者 豊商事株式会社 取引種類 国内公設先物取引 |
【事案】 |
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被害者は、豊商事外務員から「金の値段が上がる」との勧誘を受けて、外務員の助言にしたがい、金の先物取引をしたところ、取引開始の翌日から、ストップ安が連続し、莫大な損失となった。 まず、豊商事が差損金請求を求めて提訴し、他方で、被害者も、損害賠償請求を求めて提訴した。なお、被害者は、もともとは別の弁護士に依頼していたが、1審で全面敗訴したため、高裁段階から、当研究会のメンバーに依頼した事案である。控訴審(高等裁判所)では、新たに、「消費者契約法による取消」の主張を行い、立証を積み重ねた結果、札幌高等裁判所は、この主張を認め、全部勝訴した。 |
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【コメント】 |
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先物取引の注文を、消費者契約法に基づいて取消すことを認めたのは、全国で2例目である。 豊商事は、金の暴落の可能性を示す様々な相場情報を知っていながら、「金の相場が上昇する」という情報のみを顧客に与え続け、過大な建玉をさせた、という典型的な先物被害である。先物取引業者は、手数料に依存する企業であるため、顧客の利益よりも「より多くの取引をさせて、多くの手数料を払わせる。」ことを目的として営業活動をするという体質がある。本件は、その体質が、如実にあらわれた被害事例であった。 裁判中には、全国の弁護士と情報交換して、この当時における東京工業品取引所の金相場と、ロンドンの金相場の史上例のない乖離や、プロの業者は全て売玉で、買玉の99%は素人顧客という異常な相場状況について、証拠資料を収集した。こうした膨大な証拠資料を集められたことが、勝訴につながった。 |
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